Q:花粉症の治療について

花粉症の身にとって、憂鬱な季節が参りました。昨年は貴院にて経口薬を 処方して頂きましたが、1回に頂ける量が余り多くなく、頻繁に通院せねばならず、終には挫折してしまいました。1回の処方量を2ヶ月程度に増やして頂くことはできないのでしょうか?

また、1回の注射でワンシーズン効果が期待できる薬剤の報道を耳にすることがありますが、貴院で施術を受けることは可能でしょうか?  

泉区 Kさん

A:その薬剤は不適切な使用法をされた場合、一種の毒薬といわねばなりません

ご指摘のように花粉症の方にとってこのシーズンは、本当につらいものです。加えて耳鼻科医療機関の外来が非常に込み合うことともなり、通院される方々のイライラは良く理解できます。

私たち医療機関側もなるべく混雑を避けようと、とくに急激な変化の見られない慢性疾患の方には、ご質問された方が経験しておられるように、法律で許される最大限の2週間分処方するように努力しています。しかしそれでも待ち時間の点など、まだまだ課題は大きいのが現状です。

確かに内服薬など、もっと長期間処方できるようになるとより良いのかも知れません。けれども花粉症の症状は、シーズン中まったく同じという訳ではありません。せめて法律に定められているように、2週間に1回位は症状の変化を確認しながら治療方針を再検討することも、必要なのではないでしょうか。

どうしても通院せずに抗アレルギー剤を入手したい場合には、弱い抗アレルギー剤の点鼻薬が市販されています。それをご利用頂くのも、副作用の心配もありませんので良いかとは思います。

また、お書きになっておられる1回の注射でワンシーズン効果の持続する薬剤は、ケナコルトというステロイド剤です。これは体内に貯留しステロイドを外部から補充し続けますから、花粉症の症状は抑制されます。同時に人体の副腎皮質の活動もワンシーズンは抑制され続けます。その間人体は注入されたステロイドの強制的は放出を、コントロールすることはできません。

アトピー性皮膚炎に対して皮膚に塗布するステロイド軟膏でさえ、副腎皮質機能抑制など強い副作用が問題になっています。しかも軟膏は塗布を止めれば作用も中断します。それに対してケナコルトの注射は、前述のようにコントロール不可能です。

ケナコルトの作用で抑制された副腎皮質の機能が十分に回復しない可能性だって否定できませんし、これはきわめて危険です。

そもそも薬剤というものは、だじゃれで「クスリはリスク」などと表現されることもある位、不適切な使用では危険なこともあるのです。

ですからケナコルトのようなきわめて強い薬剤を使用する時には、きちんと全身状態をチェックして、使用すべきかどうか厳格な判断がなされるべきです。

この薬剤は不適切な使用法をされた場合、一種の毒薬と言わねばならないのです。

なお当院では、ケナコルトは使用しておりません。花粉症にケナコルトを使用するのは、どうもやり過ぎのような気がしてならないからです。  

(三好耳鼻咽喉科クリニック院長 三好 彰)

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